コバルトクロム合金製キャストクラスプ Cast clasp made of cobalt-chromium alloyコバルトクロム合金製キャストクラスプとは?(What's cast clasp made of cobalt-chromium alloy ?)
歯科用コバルトクロム合金を鋳造して製作したクラスプである。クラスプとは、入れ歯を動かなくするための固定具である。キャストクラスプは、歯面に対する適合がワイヤーを屈曲して製作したクラスプより良いこと、クラスプ先端に行くに連れてクラスプアームの厚みを細く、薄くすることができることが利点である。
歯科用コバルトクロム合金は、歯科用金合金と比べて、引張り強さ(強度)および硬さが大きく、伸びが小さいことが特徴である。 空気中の炭素が鋳造の際に混入すると、物性が著しく低下するため、繰り返し鋳造に使用することができないこと、偏析が生じることが注意点である。均一化焼きなましを行えば偏析を改善することができるが、鋳造体の適合性が悪化する恐れがある。コバルトとクロムのイオンは、金属アレルギーになりやすい元素であるが、コバルトクロム合金は不動態をが金属表面に形成されるため耐食性が高く、イオン溶出が少ないといわれている。ヨーロッパでは、陶材焼付用Ni-Cr合金の代替合金として、2000年代から陶材焼付用としてコバルトクロム合金が使用され始めた。この背景として、Ni-Cr合金は、この合金を加工する歯科技工士の健康に悪影響を及ぼすこと、世界的に金の価格が高騰して、金合金を使用することが困難になってきていることが挙げられる。
近年、3Dプリンタ技術(付加製造技術)の発達が著しく、歯科業界でも歯科補綴修復物に応用する動きが見られている。コバルトクロム合金も、金属の3Dプリンタ(セレクティブレーザーメルティング法;SLM法、ダイレクトメタルレーザーシンタリング;DMLS法)で造形が可能となり、基礎研究および臨床研究で、陶材焼付用コバルトクロム合金製メタルコーピングの支台歯原型に対する適合性評価、3Dプリンタ用コバルトクロムモリブデン合金粉末の生体適合性評価(細胞系)が行われている。適合性は、ロストワックス鋳造法<CAD/CAMミリング法≦3Dプリンタ法(セレクティブレーザーメルティング法)といった結論が多く、適合性の改善が必要であると言及されている。
使用材料(Materials)
サベイヤー、ワックス、片顎用既製トレーまたは個人トレー、シリコーン印象材、耐火模型作製用埋没材、プラスチックリング、真空練和機、リン酸塩系埋没材、歯科用コバルトクロム合金、高周波鋳造機、研磨用具
製作方法 (Method of fabrication)1.クラスプをかける歯の複印象をとり、耐火模型を製作する。2. サベイングして得た情報をもとに、クラスプの設計をする。 3. 耐火模型上にワックスアップする。 4.スプルー植立、埋没まで行う。 5.800度に加熱して高周波鋳造機で鋳造する。 6.鋳造体を割り出し、アルミナサンドブラストで酸化膜を除去する。 7. 適合調整し、研磨を行う。 考察(Discussion)1.型ごと埋没法(耐火模型法)についてコバルトクロム合金は融点が高いため、鋳造時の収縮が大きい。そのため、寸法を大きくした耐火模型上にワックスアップして鋳型を作製し、補正を行って作製する。作業模型上に直接ワックスアップすると、鋳型の膨張が不足して小さめの鋳造体ができる可能性がある。2. 3Dプリンタ技術を利用したクラスプの製作について金属の3Dプリンタ(セレクティブレーザーメルティング法;SLM法、ダイレクトメタルレーザーシンタリング法;DMLS法)でCo-Cr合金やTi合金の粉末を焼結または融解して、クラスプが造形できるようになっている。現在、研究では、造形されたクラスプの疲労試験が行われている。適合精度の評価はされていない。樹脂の3Dプリンタ(液槽光重合方式、インクジェット方式)でクラスプパターンを造形し、型ごと埋没法およびロストワックス鋳造法と併用することで、適合精度の良い鋳造クラスプが製作できる可能性がある。しかしながら、製作精度や表面粗さなどの評価がなされていない。 2015年に日本でもEOS社の「EOSINT M 270 dental」 が販売開始した。これは、専用のコバルトクロム合金粉末を利用して、金属床、クラスプ、クラウン、メタルコーピングなどが造形することが可能である。コバルトクロム合金製メタルコーピングの支台歯原型に対する適合性評価は、in vitro および in vivoで、既に多くの研究者達によってなされている。 http://www.eos.info/dental 結論(Conclusion)今回、型ごと埋没法を利用することで、適合精度の良いコバルトクロム合金製キャストクラスプが製作することができた。関連リンク(Related links)歯型彫刻と歯列模型製作http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html スタビライゼーションスプリント tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/stabilization-splint.html メタルコア http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/metal-core.html プロビジョナルレストレーション/テンポラリークラウン http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/provisional-restoration-temporary-crown.html レジン前装鋳造冠 http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/metal-crown-with-acrylic-facing.html 歯科インプラント治療のためのX線診断用ステント http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/xx-ray-diagnostic-stent-for-inspection.html フルキャストクラウン(上顎第一大臼歯) http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/full-cast-crown-besetzung-metall-krone.html alloy.html 即時義歯 http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/immediate-denture.html CAD/CAMミリング法で製作したレジンクラウンとCAD/CAM冠の治療指針 http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cadcamresin-crown-by-cadcam-milling.html 接着ブリッジと治療のガイドライン http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_10_01_archive.html ナイトガード(ソフトタイプ) http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/nigut-guard-soft-type.html メタルアンレー http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/metal-onlay.html テンポラリーブリッジ http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/temporary-bridge.html プロビジョナルレストレーションとメタルコアのセット http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_11_01_archive.html 口腔顔面技工のまとめ http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/summary-of-oral-and-maxillofacial.html フルキャストクラウン(サベイドクラウン) http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/surveyed-crown-mandibular-second-molar.html フルキャストクラウン(遠心根支台歯、下顎第一大臼歯) http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/full-cast-crown-of-distal-root-abutment.html 歯科技工用CAD/CAMシステム http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/cadcamcadcam-system-for-dental-technique.html MODメタルアンレー http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/mod-mod-metal-inlay.html 咬合床 http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_12_01_archive.html メタルボンドクラウン http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/12/1-porcelain-fused-to-metal.html |
インレー、クラウン、ブリッジ、部分床/全部床義歯、そしてインプラント上部構造などの歯科補綴修復物は、歯科医師および歯科技工士によって、製作されています。歯科補綴修復物は、既製品ではなく、患者一人一人に合わせた、テーラーメイドの製作物です。生体用の金属、樹脂、セラミックスなど、さまざまな材料を使用しています。加工技術もロストワックス鋳造法やCAD/CAM法など、専門的で高度な技術が用いられています。歯科補綴修復物の種類および特徴、使用材料、製作法などは一般に知られていないのが現状です。ここでは、様々な歯科補綴修復物について紹介していきます。(Einführung von maßgeschneiderten Zahnersatz Restaurierung.)
2015年9月28日月曜日
コバルトクロム合金製 キャストクラスプ Cast clasp made of cobalt-chromium alloy
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