2015年11月5日木曜日

MOD メタルインレー(下顎第二小臼歯) MOD metal inlay (Mandibular second premolar)

MODメタルインレー MOD metal inlay

MODメタルインレーとは?(What's a MOD metal inlay ?)

 メタルインレーは、虫歯を削ったあとに詰める金属製のものである。MODとは、近心面、咬合面、遠心面のことをいう。保険では金銀パラジウム合金、保険適用外では18K金合金等を用いる。

使用材料(Materials)

インレーワックス、ワックス分離材、ワックス形成器、スプルーワックス、石膏系埋没材、リング、キャスティングライナー、真空練和機、水、ファーネス、鋳造機、金銀パラジウム合金、研磨器具

製作方法(Method of fabrication)

1.作業模型を製作する(分割タイプ)
2.マージントリミングをする(拡大鏡使用)
3.ワックス分離材を塗布する(隣在歯、支台歯および対合歯)
4.ワックスアップする(歯列に調和させる)
5. マージン調整を行う(拡大鏡使用)
6.スプルー植立、埋没、鋳造を行う(ロストワックス鋳造法)
7.鋳造体割り出し、洗浄を行う
8.鋳造体内面の突起の除去を行う
9.コンタクト調整、鏡面研磨を行う

考察(Discussion)

1.支台歯模型の調整について

10~20倍の拡大鏡で支台歯を観察すると、インレーの支台歯には、アンダーカットが存在する場合がある。このアンダーカットは、モデルリペアーあるいはブロックアウト用ワックスを使用して埋める必要がある。仮に、アンダーカットを埋めないでワックスアップを行うと、ワックス原型がアンダーカットに引っかかり、着脱ができなくなる。着脱できたとしても、原型の外力による変形が起こる可能性が高くなる。
 アンダーカットをモデルリペアーで埋める方法は下記のとおりである。
1.拡大鏡を使用しながら、リーマーにモデルリペアーをつけながらアンダーカット部にモデルリペアーをつけていく(モデルリペアーの量は最小限にとどめる)。
2.モデルリペアー用硬化スプレーで、モデルリペアーを硬化させる。

2.ワックスアップ法について

一般的には、盛り上げ法でワックスアップされているが、個人的には、支台歯マージンラインを青色で明確に記入し、半透明のソフトタイプインレーワックス(松楓のレッドインレーワックス)を使用して、軟化圧接法でワックスアップを行ったほうが、加熱を最小限にすることができ、適合の良いインレーが製作できると考えている。加えて、半透明のワックスを使用することで、マージン部が過不足になることを防ぐことができる。仮に、マージン部に過不足が生じると、形態回復時に、歯列及び歯冠に調和した形態が作れなくなる。

関連リンク(Related links)

歯型彫刻と歯列模型製作
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html 
スタビライゼーションスプリント
tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/stabilization-splint.html
プロビジョナルレストレーション/テンポラリークラウン
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レジン前装鋳造冠
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/metal-crown-with-acrylic-facing.html 
歯科インプラント治療のためのX線診断用ステント
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/xx-ray-diagnostic-stent-for-inspection.html 
フルキャストクラウン(上顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/full-cast-crown-besetzung-metall-krone.html 
コバルトクロム合金製キャストクラスプ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cast-clasp-made-of-cobalt-chromium-alloy.html 
即時義歯
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/immediate-denture.html 
CAD/CAMミリング法で製作したレジンクラウンとCAD/CAM冠の治療指針
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cadcamresin-crown-by-cadcam-milling.html 
接着ブリッジと治療のガイドライン
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_10_01_archive.html 
ナイトガード(ソフトタイプ)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/nigut-guard-soft-type.html 
メタルアンレー
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/metal-onlay.html 
テンポラリーブリッジ
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プロビジョナルレストレーションとメタルコアのセット
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_11_01_archive.html 
口腔顔面技工のまとめ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/summary-of-oral-and-maxillofacial.html 
フルキャストクラウン(サベイドクラウン)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/surveyed-crown-mandibular-second-molar.html 
フルキャストクラウン(遠心根支台歯、下顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/full-cast-crown-of-distal-root-abutment.html 
歯科技工用CAD/CAMシステム
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MODメタルアンレー
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咬合床
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メタルボンドクラウン 
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/12/1-porcelain-fused-to-metal.html
 

 

2015年10月22日木曜日

接着 ブリッジ Resin-bonded fixed partial denture

接着ブリッジ Resin-bonded fixed partial denture

接着ブリッジとは?(What's a resin-bonded fixed partial denture ?)

 金属のフレームワークを、接着性材料によって装着するブリッジのことをいう。支台歯の歯質削除を最小限にとどめられることが利点である。
http://www.oralstudio.net/stepup/jisho/sakuin/E382BB/03618_09.php

使用材料(Materials) 

作業模型、ワックス分離材、インレーワックス、パターンレジン、シリコーンパテ、ワセリン、リテンションビーズ、スプルーワックス、リング、ライナー、真空練和機、石膏系埋没材、ファーネス、金銀パラジウム合金、アルミナサンドブラスト、メタルプライマー、硬質レジン(オペーク、デンティン、インサイザル)、研磨用器具、技工用バー。

製作方法(Method of fabrication) 

1.作業模型を製作する
2.模型にワックス分離材を塗布する
3. 支台歯に一層パラフィンワックスまたはインレーワックスを塗布する
4.パターンレジンを、塗布したワックスの上に一層盛り上げる(原型の骨格をつくる)
5.インレーワックスで理想的な歯冠形態を形成する
6. シリコンパテで歯冠形態のシリコンインデックスを作製する
7.カットバックをする
8.リテンションビーズを付与する
9.スプルー植立、埋没、加熱、鋳造をする(ロストワックス鋳造法)
10.割り出し、スプルーカット、茶シリまでフレームを研磨する
11. レジンとの接触面に、アルミナサンドブラスト処理をする
12. フレームを洗浄し、メタルプライマーをレジンとの接触面に塗布する
13.オペークレジンを、金属色が見えなくなるまで塗布する
14.シリコンインデックスでエナメル色レジンを盛る量を確認しながら、ボディ色レジンを盛り上げる
15.エナメル色レジンを盛り上げる
16.機械研磨後、外部ステインテクニックで白帯などを表現する

結果(Result)

 今回、外部ステインテクニックを用いたことで、口腔内に調和した色調が再現できた。

考察(Discussion)

1. 外部ステインテクニックについて

 隣在歯に、白帯や着色が観察されるとき、歯列の色調に調和するように、レジン表面にステインを塗り、光で硬化させることがある。ステイン後、ナノコートでコーティングして完成させる。


2.接着ブリッジのガイドライン(日本歯科補綴学会のガイドラインを引用した)

 接着ブリッジとは,従来型ブリッジと同様に支台装置(以下リテーナー*),ポンティック,連結部より構成されるが,支台歯のうち少なくとも歯の切削を原則的にエナメル質にとどめ,接着性レジンを用いて支台歯に支台装置を接着するブリッジのことをいう.1歯または2歯程度の少数歯欠損に対して用いられる.
*:保険用語ではリテーナーは暫間補綴装置をさすが,本ガイドラインにおいては本来の支台装置の意味として使用する。

 接着ブリッジの支台歯は生活歯であることが望ましく,失活歯の場合には従来型ブリッジの選択を考慮する.また,前歯部と臼歯部では接着ブリッジに加わる咬合力の方向や大きさが異なるため,支台歯数は装着部位や支台歯の状態によって増減する必要があるが,支台歯形成や被着面処理を適切に行えば,装着部位による生存率の差は認められない.欠損歯数が1歯であっても,欠損部が大きくなれば,使われる金属材料の歪みも大きくなる.接着ブリッジでは従来型ブリッジに比較して,咬合力による歪みや歯の動揺による歪みに対して支台歯から脱離しようとする剥離応力が強くなる.したがって,ロングスパンや歯列が彎曲した部位における接着ブリッジの適用には注意が必要である.接着ブリッジの適応症は2歯欠損までであり,3歯以上の欠損に適応する場合は設計を十分熟慮すべきであるといえる適応症選択の原則を守ることで成功率は向上し,従来型ブリッジと並んで少数歯欠損に対する一つの治療オプションとなりうる.
 支台歯の状態
 支台歯の動揺度は接着ブリッジの成功を左右するため,その動揺度を把握するべきである.歯周疾患治療後などのために支台歯に動揺がみられる場合は,動揺がない場合に比較して脱離する確率が高いことが報告されており,支台歯により強固な維持形態を付与したり,ブリッジ自体の剛性をより高めたりすることが必要となる.また,咬耗などによって象牙質が広範囲に露出した歯を接着ブリッジの支台歯として用いることは推奨しない.欠損部位の状態欠損歯数やその長さは接着ブリッジの予後に重要な因子であるため,欠損部位の状態を把握することが望ましい.接着ブリッジの維持力は従来型ブリッジに比較して弱いと言われている.また,接着界面に加わる応力は,圧縮応力に比較して剪断,剥離応力に弱い.したがって,欠損歯数や欠損部の長さにより接着ブリッジの支台歯数は決定されるべきである.適応する欠損部位による成功率に関しては様々な報告がある.上顎よりも下顎の,前歯部よりも臼歯部の成功率が低いとする報告がみられる一方で,前述のように部位の違いによる成功率には差が認められなかったという報告もある.このような相反する結果は,接着ブリッジの成功率が適応部位よりも支台歯形態,被着面処理,あるいは接着材などの影響を受けて交絡されている可能性を示している.いずれにしても,前方運動時や側方運動時にできるだけ接着界面に剪断,剥離力が加わらないよう装着後によく咬合調整を行うことが必要であり,またその応力の影響に抵抗できうる抵抗形態を支台歯に付与することが必要といえる.
 咬合状態
 接着ブリッジは,従来型ブリッジに比較して,歯の動揺やブラキシズムや咬合干渉などによる外力に対して脆弱であるため,咬合状態を把握することが望ましい.支台歯が動揺している場合は接着ブリッジの脱離原因となる.また,異常な動揺がみられない支台歯であっても,ブラキシズムや咬合干渉のような環境下にある支台歯は注意が必要である.
 口腔衛生状態
 支台装置を利用する接着ブリッジは,その辺縁がすべて歯肉縁上にあるため,プラークコントロールは容易で歯周組織に与える影響は少ない.しかし,支台装置と支台歯の界面にはプラークが付着しやすいので,プラークコントロールしにくい部位,特に支台歯とポンティック間の鼓形空隙部は歯間ブラシ等による徹底したプラークコントロールを行う必要がある.口腔衛生状態を把握することは接着ブリッジに必要な検査といえる. 

 
 

 

 

2015年10月3日土曜日

ナイトガード(ソフトタイプ) Nigut guard (soft type)

ナイトガード(ソフトタイプ) Nigut guard (soft type)

ナイトガードとは?(What's a nigut guard ?)

 歯ぎしり(ブラキシズム)の治療に使用されるマウスピースのことをいう。就寝時に装着し、歯や顎に掛かる負担を軽減させる。ソフトタイプとハードタイプがある。

使用材料(Materials) 

 お湯、ソフトタイプのナイトガード、咬合器装着した上下歯列模型。

製作方法(Method of fabrication) 

1.上下の模型を、バイトをかませた状態で咬合器装着する。
2.お湯で半製品のナイトガードを軟化し、 模型に圧接する。
3.外形をデザインナイフで形成し、火炎で表面を滑沢にして、完成。
 

2015年10月2日金曜日

メタル アンレー Metal onlay

メタルアンレー Metal onlay

アンレーとは?(What' onlay ?)

 臼歯部の咬合面を被覆する装置のことをいう。

使用材料(Materials) 

 インレーワックス、パターンレジン、ワックス形成器、石膏系埋没材、リング、ライナー、円錐台、スプルーワックス、真空練和機、ファーネス、鋳造機、金銀パラジウム合金、水、技工用バー、研磨器具。

製作方法(Method of fabrication) 

1.作業模型製作する。
2.マージンラインを、赤または青のシャープペンで引く。
3.ワックス分離材を模型に塗布する。
4.ワックスアップを行い、隣接面および咬合面を隣在歯と対合歯に接触させる。
5. マージン調整を行う。
6.埋没、鋳造、研磨を行い、完成。

考察(Discussion) 

 1.パターンレジンをワックス原型の骨格としたワックスアップ法について

 今回のケースは、MOD型のアンレーであった。MOD型は、ワックスの収縮でワックスアップ中に変形が大きく、マージンの間隙が大きくなることがある。このテクニカルエラーを防止するために、パターンレジンをワックスアップ時に使用する方法がある。 この方法は以下のとおりである。
1.支台歯に分離材を塗布する。
2.一層インレーワックスを支台歯全体に盛り上げる。
3.パターンレジンを一層筆積みを行う。
4.通常通りワックスアップする。
 上記の方法を取ることで、原型が開くことを防止できる。
 

2015年10月1日木曜日

テンポラリー ブリッジ Temporary bridge

テンポラリーブリッジ Temporary bridge


 テンポラリークラウンと同様、一時的に装着されるレジン製ブリッジである。治療前に印象採得し、作業模型を製作して、支台歯となる部位を、歯科技工士が模型上で支台歯形成を行い、その上に即時重合レジンでブリッジを製作する。模型上で完成したテンポラリーブリッジの内面にレジンを流し、口腔内でマージンと内面の適合を調整する。
 今回はワックスアップ、シリコンインデックス作製、即時重合レジン填入、研磨の手順で製作した。

3Dプリンタ(付加製造技術)でのテンポラリークラウン製作

  イタリアのDWSシステムズ社が、テンポラリークラウン用の3Dプリンタ用樹脂を開発している。http://www.dwssystems.com/
 この樹脂は、液槽光重合方式の3Dプリンタ機で造形が可能である。今後、薬事申請が通れば、日本でもこの樹脂が使用可能となり、歯科技工作業のデジタル化が進む。 

関連リンク(Related links)

歯型彫刻と歯列模型製作
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html 
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フルキャストクラウン(遠心根支台歯、下顎第一大臼歯)
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歯科技工用CAD/CAMシステム
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MODメタルアンレー
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咬合床
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メタルボンドクラウン 
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2015年9月29日火曜日

個人トレー+個歯トレー custum tray+ abutment tray

個人トレー+個歯トレー custum tray+ abutment tray

個人トレーとは?(What's custum tray ?)

 正確な印象採得をするためのトレーである。歯列や顎堤に対して一定のスペースを有するトレーである。即時重合レジンを使用して歯科技工士により製作される。
 シリコーン印象材を使用する場合は、内面を機械的に荒らす。
 アルジネート印象材を使用する場合は、トレーに穴を無数に開ける。

個歯トレーとは?(What's abutment tray ?)

 個歯トレーは印象の変形防止を目的に、支台歯を1歯単位で印象するためのトレーである。利点は、印象材の厚さを均一な薄い層にすることで寸法精度を向上させる。印象と同時に歯肉圧排が行える。隣在歯のアンダーカットの影響を遮断する。などである。即時重合レジンで模型上で製作し、口腔内でもマージン部の修正を行ってから使用する。

使用材料(Materials)

 パラフィンワックス、即時重合レジン、トレーレジン(即時重合レジン)、ガーゼ、技工用バー、(マルチパッド)。

製作方法(Method of fabrication)

1.模型上で理想的に支台歯形成を行う。
2.パラフィンワックスでスペーサーを作る。
3.分離材(ワセリン)を塗り、即時重合レジンを圧接する。
4.レジンが硬化したら、バーで形態修正を行う。
5.ハンドルをレジンでつくり、内面を一層荒らして完成。

  

考察(Discussion)

 1.個人トレーについて

 スペーサーは、通常、作業模型上にパラフィンワックスを1枚圧接して形成する。このワックスの代わりに、濡らしたガーゼを代用することが可能である。ガーゼを用いることで、レジンとガーゼの接触面が 荒れた状態になり、印象材との機械的嵌合力が高くなると考えられる。
 スペーサーとして、マルチパッド(粘土ライクなシリコン)を用いる方法も、作業効率の向上につながると考えられる。なぜなら、マルチパッドは常温で塑性変形する油粘土のようなシリコンなので、ワックスのように火炎とスパチュラを用いずにブロックアウトとスペーサー付与が行える。
 ハンドルは、歯科医師が持ちやすいように大きめにつくったほうが良い。また、溝を掘り、すべらないようにしたほうが良いと思われる。 
 

 2.3Dプリンタ技術(付加製造技術:Additive Manufactureing technology:AM技術)を利用した個人トレー、個歯トレーの製作について

 個人トレーおよび個歯トレーは、液槽光重合方式、インクジェット方式およびFDM方式の3Dプリンタ技術(付加製造技術)を利用して製作が可能であると考えられる。製作手順は下記のとおりである。
1.光学式3Dスキャナーで研究用模型または作業模型を3Dスキャンする。
2.3Dスキャンした3D模型データをSTLデータに変換して、エクスポートする。
3. 3Dモデリングソフトを使用して、3D模型データの上に、個人トレーおよび個歯トレーをデジタルワックスアップする。
4.デジタルワックスアップした部分のみ、STLデータに変換して保存する。
5.個人トレーおよび個歯トレーのデジタルデータに、サポートを設計して植立する。
6.造形用データ(スライスデータ)を作製する。
7.3Dプリンタ装置で造形する。
8.99%エタノールで造形物を洗浄後、造形物についたサポートを除去する。
9.形態修正や研磨を行い完成。

 FDM方式3Dプリンタの造形物は、素材がABS樹脂/PLA樹脂であり、造形後の重合収縮による経時変化がないため、造形物の製作精度が高く、コストが従来法よりも安くなれば、個人トレーおよび個歯トレーに最も向いている製作方法であると考えられる。上記のABS樹脂は、既製のディスポトレーと同じ素材である。
  BEGO社(ドイツ)からは、歯科技工用液槽光重合(バスタブ/光造形)方式の3Dプリンタと個人トレー用の3Dプリンタ用光硬化性樹脂が販売されている。コストは不明である。

液槽光重合方式の歯科用3Dプリンタ、DWS社(イタリア)
http://www.dwssystems.com/ 

歯科技工用液槽光重合方式の3Dプリンタ、BEGO社(ドイツ) (販売:アイキャスト、ニッシン)
https://www.i-cast.jp/products/BEGO/BEGOallmodels/3DPrinting/Tray/index.html 

液槽光重合方式の3Dプリンタ、エンビジョンテック社(ドイツ)
https://envisiontec.com/

インクジェット方式の3Dプリンタ、3Dシステムズ社(アメリカ)
https://ja.3dsystems.com/industries/dental

マルチパッド (東京歯科商材社、FeedデンタルネットストアHP)
https://dental.feed.jp/product/306000010.html 

参考文献(Reference)

石橋寛二,伊藤裕,川和忠治,寺田義博,福島俊二,三浦宏之.クラウンブリッジテクニック.医歯薬出版 2008;1:49~60.

参考文献リンク(Links of reference)

杉浦 友信.個人トレー用即時重合レジン.口腔病学会誌.31(4), 307-307, 1964
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koubyou1952/31/4/31_4_307/_article/-char/ja/

関連リンク(Related links)

歯型彫刻と歯列模型製作
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メタルコア
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口腔顔面技工のまとめ
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咬合床
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メタルボンドクラウン 
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レジンクラウン(CAD/CAMミリング法)とCAD/CAM 冠の治療指針 Resin crown by CAD/CAM milling Hard resin jacket krone von CAD / CAM-Fräsen

CAD/CAMミリング法で製作中のレジンクラウン

 CAD/CAMレジンクラウンとは?(What's resin crown by CAD/CAM resin crown ?)

 CAD/CAMミリング法でコンポジットレジンブロックを切削して製作したレジンクラウンである。平成26年度より、小臼歯部で保険適用となった。CAD上でデジタルワックスアップを行いCAD用データを製作し、CAD機にそのデータを送り、切削加工する。レジンの他に、セラミックス、金属(Co-Cr, Ti)、木などが市販されている。

保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針(引用)

公益社団法人日本補綴歯科学会医療問題検討委員会が作成した。

1.はじめに
平成26年度の療報酬改定により、歯科用CAD/CAM装置を用い、均質性及び表面性状を向上させたハイブリッドレジンブロックから削り出された小臼歯部の歯冠補綴
であるCAD/CAM冠が保険導入された。このCAD/CAM冠には、これまでの補綴とは異なる対応が求められるが、その適切な術式については周知されていない。そこで、(公社)日本補綴歯科学会は、保険診療におけるCAD/CAM冠の診療指針を作成することとした。

2.保険診療におけるCAD/CAM冠について
1)CAD/CAM冠の定義CAD(Computer-Aided Design)はコンピュータ支援による設計、CAM(Computer-Aided Manufacturing)はコンピュータ支援による加工・製作のことで、CAD/CAM冠は、歯科用CAD/CAMシステムを用いてCAD/CAM冠の設計を行った後、製造機械と連結して、CAD/CAM冠の加工・製作を行った補綴装置を指し、保険診療においてはCAD/CAM冠用材料との互換性が制限されない歯科用CAD/CAM装置を用いて、作業用模型で間接法により製作された歯冠補綴装置をいう。

2)CAD/CAM冠の施設基準
CAD/CAM冠の施設基準は次の通りであるが、歯科用CAD/CAM装置が保険医療機関内にある場合は、保険医療機関に歯科技工士が配置されている必要があるので、この点については留意が必要である。
【CAD/CAM冠に関する施設基準】
(1)歯科補綴治療に係る専門の知識および3年以上の経験を有する歯科医師が1名以上配置されていること。
(2)保険医療機関内に歯科技工士が配置されていること。なお、歯科技工士を配置していない場合は、歯科技工所との連携が図られていること。
(3)保険医療機関内に歯科用CAD/CAM装置が設置されていること。なお、保険医療機関内に設置されていない場合は、当該装置を設置している歯科技工所との連携が図られていること。

3)CAD/CAM冠用材料の定義
保険診療においては、CAD/CAM冠に使用できる材料は規定されており、次の定義を満たすものに限定されている。
【CAD/CAM冠用材料の定義】
次のいずれにも該当すること。
(1)薬事法承認又は認証上、類別が「歯科材料
(2)歯冠材料」であって、一般的名称が「歯科切削加工用レジン材料」であること。
(2)シリカ微粉末とそれを除いた無機質フィラーの2種類のフィラーの合計が60%以上であり、重合開始剤として過酸化物を用いた加熱重合により作製されたレジンブロックであること。
(3)1歯相当分の規格であり、複数歯分の製作ができないこと。
(4)CAD/CAM冠に用いられる材料であること。

4)CAD/CAM装置
CAD/CAM冠用材料との互換性が制限されない歯科用CAD/CAM装置を用いることとなっており、複数企業のCAD/CAM冠用材料に対応できる装置を指す。なお、CAD/CAM冠用材料装着部の変更又は加工プログラムの改修(追加、変更)により、複数企業のCAD/CAM冠用材料に対応できる装置も対応となる。

5)適応症
適応症は、全部被覆冠と同様であり、維持力に十分な歯冠高径があること、過度な咬合圧が加わらないこと等が求められる。適応可能な症例については、個別具体的に判断することとなるが、適応症、推奨できない症例、考慮すべき事項は以下の通りとなる。また、部分床義歯の支台歯、事実上の最後臼歯については、適応症とするためのエビデンスが得られていないため、当面は慎重に適用を検討すべきである。なお、後継永久歯がない乳臼歯に対して、必要があって製作する場合のCAD/CAM冠については、維持力に十分な歯冠高径があること、過度な咬合圧が加わらないこと等から歯科医学的に適切であると判断された場合には適用が可能であると考えられる。

(1)適応症・小臼歯の単冠症例
(2)推奨できない症例・咬合面クリアランスが確保できない症例・過小な支台歯高径症例・顕著な咬耗(ブラキシズム)症例
(3)考慮すべき事項・部分床義歯の支台歯・事実上の最後臼歯(後方歯の欠損)・高度な審美性の要望

3.CAD/CAM冠の製作

1)支台歯形成
適切なクリアランス、滑沢かつ単純な形態、丸みをもたせた凸隅角部、円滑で明確なマージン形態とフィニッシュラインが求められる。
(1)咬合面・約1mmのガイドグルーブを付与する。・頬側、舌側内斜面ともに、咬頭傾斜に沿ってガイドグルーブが平らになるように切削し、なめらかな逆屋根形状にする。
・クリアランスは、1.5~2.0mm以上にする。
(2)頬側面・舌側面
・頬側面は咬頭側と歯頸側それぞれに咬合面と同様1mm弱のガイドグルーブを付与し、2面形成する。
・軸面テーパーは片面6~10°の範囲におさめる。
・舌側も頬側と同様に形成する。
(3)隣接面
・隣接歯を傷つけないことが重要であり、隣接面に歯質が一層残るように軽くバーを通すイメージで形成する。
・両隣接面のテーパーも片面6~10°の範囲におさめる。
(4)軸面・マージン部
・概形成ができたら、続けて支台歯全周の辺縁形態をディープシャンファーに修正する。
・フィニッシュラインが鋸歯状とならないよう特に滑らかに仕上げることが大切である。
・舌側面も頬側面と同様に修正する。
・クリアランスは、軸面で1.5mm以上、マージン部で約1.0mmにする。
(5)隅角部
・咬合面―軸面部に鋭角な部分がないように丸みを帯びた形状にする
(6)削除量の確認
・あらかじめ作製したシリコーンインデックスなどで削除量を確認する。

2)印象・咬合採得
・歯肉圧排操作を確実に行い、フィニッシュラインを明示する。
・シリコーンゴム印象材と咬合採得用シリコーンゴムによる印象・咬合採得が望ましい。

3)調整・研磨
(1)隣接面のコンタクト強さは、コンタクトゲージを用いて確認し、コンタクトが強い場合は咬合紙でマーキングして調整する。
(2)CAD/CAM冠を試適し、マージン部の適合を確認(視診、探針)する。
(3)咬頭嵌合位および側方運動の咬合接触点を確認し、咬合調整を行う。
(4)研磨は、口腔外でセラミックス材料と同様のステップで行う。

4)装着歯質とCAD/CAM冠の一体化を図るため、接着性レジンセメントを使用することが必須である。

(1)口腔内試適後、CAD/CAM冠内面を弱圧下でアルミナサンドブラスト処理することが推奨される。
(2)超音波洗浄やリン酸エッチング処理などでCAD/CAM冠内面を清掃し、乾燥後にシランカップリング剤含有プライマーを塗布する(シラン処理)。
(3)乾燥後に接着性レジンセメントをCAD/CAM冠内面に塗布して装着する。
(4)余剰セメントに数秒間光照射(セメントの種類により異なる)を行い、接着性レジンセメントを半硬化させた後、除去する。なお、セメントの種類によっては、歯面処理が必要である。

4.その他
1)CAD/CAM冠の管理について
・物品(食品・工業製品など)の生産・流通履歴管理により、物品の流通経路を生産段階から消費段階まで追跡が可能な状態のことをトレーサビリティtraceability)といい、CAD/CAM冠を含む歯科技工全般について追跡・調査が可能な状態としておくことが望まれている。
・CAD/CAM冠の材料にLOT番号が記載されているシールが用意されている場合、これを保管することが望ましい。