2016年1月25日月曜日

テンポラリークラウン プロビジョナルレストレーション (上顎左側側切歯) temporary crown

テンポラリークラウン/ プロビジョナルレストレーション


エナメル色とデンティン色の2色盛り

ワックスアップによる形態回復1

ワックスアップによる形態回復2

2色盛りテンポラリークラウンの製作方法

(Method of fabrication)

  1.  ワックスアップして歯冠形態をつくる
  2.  シリコンインデックスを製作する
  3.  シリコンインデックスの切縁から1/3にある唇側側に、薄くエナメル色の即時重合レジンを盛り上げる(0.2mm程の厚み)
  4. デンティン色のレジンをインデックス内に満たし、すぐインデックスを模型にはめて、支台歯にレジンを圧接する
  5. 湿式加圧重合機で、脱泡する(レジンが緻密になり、研磨が容易になる)
  6.  コンタクト調整、咬合調整、鏡面研磨をして完成

単色と多色のレジンクラウンについて

 単色のレジンクラウンは、CAD/CAM ミリング法、CAD/CAM 3Dプリンタ法(光造形)、筆積み法で製作が可能である。歯の色に近いが、審美的な要求を完全に満たすことは難しい。
  多色のレジンクラウンは、現時点では筆積み法でのみ製作可能である。歯科技工士によって、本物の歯に近く、患者個々の歯列に調和した色調が再現できる。

3Dデジタル技術(ミリング法や3Dプリンタ(付加製造技術)法)によるテンポラリークラウンなどの製作について

 今後は、口腔内カメラで支台歯をデジタル印象して、3DCADでクラウン形態をデジタルワックスアップ後、デジタルデータをミリング機や3Dプリンタ機に転送して、クラウンを自動加工で製作する流れとなる。
 このデジタル加工の利点は、熟練した歯科技工士が不要になり、安い労働力で歯科技工物を製作できること(3ヶ月程度でデザインなどは習得できる)、歯科技工物がどこで作られたか把握することが可能になることである(歯科技工物のトレーサビリティ)。 
 2015年、イタリアのDWS社が、歯科医院向け、低価格の卓上3Dプリンタ装置をイタリアで発売した。日本で、この装置と専用レジンの認可がおりて、販売、普及が進むことで、歯科技工作業のデジタル化が進み、歯科技工士不足に対応可能になることを期待している。

関連リンク(Related links)

DWSシステムズ社
http://www.dwssystems.com/ 
歯型彫刻と歯列模型製作
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html 
スタビライゼーションスプリント
tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/stabilization-splint.html
プロビジョナルレストレーション/テンポラリークラウン
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/provisional-restoration-temporary-crown.html 
レジン前装鋳造冠
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/metal-crown-with-acrylic-facing.html 
歯科インプラント治療のためのX線診断用ステント
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/xx-ray-diagnostic-stent-for-inspection.html 
フルキャストクラウン(上顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/full-cast-crown-besetzung-metall-krone.html 
コバルトクロム合金製キャストクラスプ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cast-clasp-made-of-cobalt-chromium-alloy.html 
即時義歯
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/immediate-denture.html 
CAD/CAMミリング法で製作したレジンクラウンとCAD/CAM冠の治療指針
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cadcamresin-crown-by-cadcam-milling.html 
接着ブリッジと治療のガイドライン
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_10_01_archive.html 
ナイトガード(ソフトタイプ)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/nigut-guard-soft-type.html 
メタルアンレー
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/metal-onlay.html 
テンポラリーブリッジ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/temporary-bridge.html 
プロビジョナルレストレーションとメタルコアのセット
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_11_01_archive.html 
口腔顔面技工のまとめ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/summary-of-oral-and-maxillofacial.html 
フルキャストクラウン(サベイドクラウン)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/surveyed-crown-mandibular-second-molar.html 
フルキャストクラウン(遠心根支台歯、下顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/full-cast-crown-of-distal-root-abutment.html 
歯科技工用CAD/CAMシステム
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/cadcamcadcam-system-for-dental-technique.html 
MODメタルアンレー
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/mod-mod-metal-inlay.html 
咬合床
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_12_01_archive.html 
メタルボンドクラウン 
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/12/1-porcelain-fused-to-metal.html
 

 

2016年1月24日日曜日

個人トレー 個歯トレー テンポラリークラウン (上顎左側中切歯)  Custom tray for a crown, abutment tray and temporary crown


クラウン製作のための個人トレーとテンポラリークラウン

個歯トレーとテンポラリークラウン



シリコン印象用穴あき個人トレーについて

 今回、個人トレーにシリコン流出孔を付与した。このシリコン流出孔は、トレー内の内圧を減少させ、トレーの浮き上がりを防止する効果やシリコンとトレーを機械的に嵌合させる効果がある。 
 トレー内面にアドヒーシブ(接着剤)を塗布して、シリコン印象を採るが、シリコンとトレーの接着が甘く、シリコンがトレーから剥がれていることがある。この印象材とトレーが剥離した状態は、印象が変形している状態であるから、印象失敗ということとなる。このテクニカルエラーを予防することを目的として、今回は 個人トレーにシリコン流出孔を付与した。その結果、シリコンとトレーの剥離は起こらず、精密印象は成功した。

個人トレーの柄について 

 個人トレーの柄は、印象撤去時に柄が取れないように製作する以外に、特別な要件はないが、私は、術者が持ちやすく滑りにくいように柄を製作している。具体的には、柄のサイズを実習帳の設計より1.5倍ほど大きくし、カーバイドバーで3から4本の溝を形成している。その結果、術者の作業効率と快適さが向上するのではないかと推察している。

3Dプリンタ(付加製造)技術を利用したメッシュ型個人トレーの製作について

  アルジネート印象と個人トレーを組み合わせた、精密印象法も存在する。この印象法は、シリコン印象と比べて低コストであり、また、模型を印象から取り外すことが容易である。個人トレー用レジンとアルジネート印象材は、化学的に接着しないので、個人トレーに穴を開けて機械的嵌合力でトレーと印象材を密着させている。(専用の接着剤が存在するが、効果は不明である)
 この個人トレーに穴を開ける作業は、技術料が発生しないにもかかわらず、30分程度の作業時間を必要とし、また、ラウンドバーに焼けたレジンが巻き付いて作業が何度も中断するといった不具合も生じる。バーに巻きついたレジンはニッパー等を使用して除去する。これは、歯科技工士にとって全くメリットのない工程である。
 上記の穴あけ工程を省略して、作業効率化を図る手段として、3Dプリンタ(付加製造)技術が挙げられる。3Dプリンタ(付加製造)技術は、中空形状、メッシュ構造といった、複雑形状の製作が得意な製作方法である。3Dプリンタ(付加製造)技術を用いることで、穴あけ工程とトレー辺縁の形態修正、柄の取り付け作業が省略できる。
 3Dプリンタ(付加製造)技術を利用した穴あき個人トレーの製作手順は下記のとおりである。
1.スタディモデルを3Dスキャンする
2.3Dモデリングソフト(フリーフォームなど)でトレーを設計する。
3.穴あけやメッシュにするアイコンを使い、データ上で穴あけなどを行う
4.STLデータとしてモデリングデータを保存する
5.造形用データ製作ソフトウェアで、造形方向の決定とサポートの設置を行う
6.造形用データ製作ソフトウェアで、使用マテリアルの決定、積層ピッチ(積層する厚みの決定)、造形位置の決定を行う。
7. 3Dプリンタ(付加製造)機で造形する(光造形方式やFDM方式:コストの低い方を選択する)
8.洗浄処理、二次硬化処理を行う 

関連リンク(Related links)

歯型彫刻と歯列模型製作
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html 
スタビライゼーションスプリント
tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/stabilization-splint.html
プロビジョナルレストレーション/テンポラリークラウン
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/provisional-restoration-temporary-crown.html 
レジン前装鋳造冠
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/metal-crown-with-acrylic-facing.html 
歯科インプラント治療のためのX線診断用ステント
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/xx-ray-diagnostic-stent-for-inspection.html 
フルキャストクラウン(上顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/full-cast-crown-besetzung-metall-krone.html 
コバルトクロム合金製キャストクラスプ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cast-clasp-made-of-cobalt-chromium-alloy.html 
即時義歯
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/immediate-denture.html 
CAD/CAMミリング法で製作したレジンクラウンとCAD/CAM冠の治療指針
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cadcamresin-crown-by-cadcam-milling.html 
接着ブリッジと治療のガイドライン
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_10_01_archive.html 
ナイトガード(ソフトタイプ)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/nigut-guard-soft-type.html 
メタルアンレー
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/metal-onlay.html 
テンポラリーブリッジ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/temporary-bridge.html 
プロビジョナルレストレーションとメタルコアのセット
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_11_01_archive.html 
口腔顔面技工のまとめ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/summary-of-oral-and-maxillofacial.html 
フルキャストクラウン(サベイドクラウン)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/surveyed-crown-mandibular-second-molar.html 
フルキャストクラウン(遠心根支台歯、下顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/full-cast-crown-of-distal-root-abutment.html 
歯科技工用CAD/CAMシステム
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/cadcamcadcam-system-for-dental-technique.html 
MODメタルアンレー
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/mod-mod-metal-inlay.html 
咬合床
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_12_01_archive.html 
メタルボンドクラウン 
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/12/1-porcelain-fused-to-metal.html
 




2016年1月20日水曜日

レジンコア Resin core

レジンコア 舌側面観

レジンコア 切縁観

レジンコアの利点(Advantage of a resin core)

 レジンコアの利点は、弾性係数が象牙質に近く、歯質との間に応力が発生しにくいため、歯根破折を起こしにくいこと、歯質との接着性に優れていることがである。

レジンコアの欠点(Disdvantage of a resin core

 破折強度が十分でなく、残存歯質がほとんどない症例には適応できない。

製作方法(Method of fabrication)

1..ポスト部のアンダーカット部は、ワックスでブロックアウトする
2.レジン分離材を支台歯に塗布する
3.コアの形態をワックスアップする(ポスト部は行わなくて良い)
4.シリコンパテでシリコンインデックスを製作し、インデックス上部にレジンを流す穴を形成する
5.ワックスパターンを除去して、ポスト部にレジンコア用レジンペーストを注入する
6.レジンペーストが硬化する前に、ファイバーを差し込む
7. シリコンインデックスを装着して、レジンペーストをインデックス内部に注入する。
8.レジンが硬化後、形態修正、研磨を行い、ポスト部の油分を除去して完成

考察(Discussion)

1.メタルコアについて

 メタルコアの形態を口腔内で切削調整すると、メタルの切削粉が歯肉内に残り、歯肉の色が黒く変色することが起こりうる。また、メタルコアのポスト部に鋭利な箇所が存在すると、鋭利な箇所に応力が集中すると歯根破折が起こると言われている。
 レジンコアを選択することで、 上記の問題を回避することが可能である。

2.3Dプリンタ技術(付加製造技術:Additive manufacturing technology)を利用したレジンコアおよびキャスト用レジンパターンの製作について

  現在、イタリアではDWSシステムズ社が開発した3Dプリンタ用生体用樹脂が販売されている「TEMPORISとDS3000 RESIN」。これは、テンポラリークラウン用とサージカルガイド用であるが、レジンコアにも応用できるのではないかと考えられる。ただし、造形精度、機械的性質やレジンセメントとの接着強度など、十分に検証したあとに使用する必要がある。また、2015年度の時点で、日本では未認可の材料であるため認可がおりるまで臨床では使えない。

関連リンク(Related links)

DWS systems
http://www.dwssystems.com/   
歯型彫刻と歯列模型製作
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html 
スタビライゼーションスプリント
tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/stabilization-splint.html
プロビジョナルレストレーション/テンポラリークラウン
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/provisional-restoration-temporary-crown.html 
レジン前装鋳造冠
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/metal-crown-with-acrylic-facing.html 
歯科インプラント治療のためのX線診断用ステント
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/xx-ray-diagnostic-stent-for-inspection.html 
フルキャストクラウン(上顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/full-cast-crown-besetzung-metall-krone.html 
コバルトクロム合金製キャストクラスプ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cast-clasp-made-of-cobalt-chromium-alloy.html 
即時義歯
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/immediate-denture.html 
CAD/CAMミリング法で製作したレジンクラウンとCAD/CAM冠の治療指針
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/09/cadcamresin-crown-by-cadcam-milling.html 
接着ブリッジと治療のガイドライン
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_10_01_archive.html 
ナイトガード(ソフトタイプ)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/nigut-guard-soft-type.html 
メタルアンレー
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/metal-onlay.html 
テンポラリーブリッジ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/10/temporary-bridge.html 
プロビジョナルレストレーションとメタルコアのセット
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_11_01_archive.html 
口腔顔面技工のまとめ
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/summary-of-oral-and-maxillofacial.html 
フルキャストクラウン(サベイドクラウン)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/surveyed-crown-mandibular-second-molar.html 
フルキャストクラウン(遠心根支台歯、下顎第一大臼歯)
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/full-cast-crown-of-distal-root-abutment.html 
歯科技工用CAD/CAMシステム
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/cadcamcadcam-system-for-dental-technique.html 
MODメタルアンレー
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/11/mod-mod-metal-inlay.html 
咬合床
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015_12_01_archive.html 
メタルボンドクラウン 
http://tailor-made-dentaltechnology-takada.blogspot.jp/2015/12/1-porcelain-fused-to-metal.html
 
 

    

2016年1月9日土曜日

総義歯 フルデンチャー Full dentures 

フルデンチャー Full dentures

フルデンチャーとは? (What's full dentures ?)

  総入れ歯、総義歯のことをいう。人工歯部は硬質レジン、レジン、陶材の3種類のうちから使用される。義歯床部は、保険適応のものだとPMMA(ポリメチルメタクリレート)が使用されている。保険外だと、ナイロン製のものなどが使用されている。

使用材料(Materials);ろう義歯試適後から研磨までの工程

 FRPフラスコキット、埋没用石膏、石膏分離材、熱湯、脱ろう器、電子レンジ、レジン分離材、PMMA;ポリメチルメタクリレート(粉)、MMA;メチルメタクリレート(液)、油圧プレス、水、石膏鉗子、エアカッター、石膏溶解液、技工用バー、研磨器具

製作方法(Method of fabrication);ろう義歯試適後から研磨までの工程

1.模型に石膏分離材を塗布する
2.FRPフラスコに模型を埋没する
3.脱ろうして、レジン分離材を模型に塗布する
4.脱ろうしたパラフィンワックスの重量を計測し、(ワックスの重量×1.2)=(ポリマー粉末の重量)の式に代入してレジンの使用量を決定する
5. PMMA:MMA=2:1の重量でポリマーとモノマーを混和し、約20分靜置する
6. レジンが餅状になったら、型に填入する)ポリエチレンシートをレジンの上に敷く
7. 油圧プレスで、10kg、20kg、30kg、40kgと加圧してバリを取り除く
8.40kgで加圧後、ネジでフラスコを固定して圧力が逃げないようにする
9. 直ちに、電子レンジで重合させる。(600Wで3分)
10.フラスコを自然放冷および応力緩和をする(1時間から24時間、可能なら1週間)
11. 型から割り出しをする。(エアカッターまたは石膏鉗子を使用する)
12.咬合器に再装着して、咬合調整する
13. 作業模型から義歯を取り外す。模型にアンダーカットがある場合は、バーで刻みを入れて鉗子で模型を破壊する
14.石膏溶解液で義歯に付着した微量の石膏を溶解させて除去する
15.バリ取り、鏡面研磨を行う
16.100倍希釈の中性洗剤水で超音波洗浄を行い、完成
















考察(Discussion)

1.液槽光重合方式(光造形方式)の3Dプリンタ技術(付加製造技術)を利用したデンチャーの製作について  

 2015年にDWS社は、デンチャーベース用の3Dプリンタ用光硬化性樹脂を開発し、イタリアで発売している。 なお、日本では未認可で現時点では発売していない。
 この樹脂と、DWS社の3Dプリンタ機を使用することで、従来のキャスティング重合法の工程を省略できる可能性が出てきた。同時に、患者ごとの義歯を3Dデータ化して保存しておくことで、義歯喪失時の複製が容易になってくると推察される。

関連リンク(Related links)

DWS社 ホームページ
http://www.dwssystems.com/ 
   

 

2016年1月1日金曜日

蝋義歯(人工歯配列 歯肉形成後)  application of wax model (After arrangement of artificial teeth and gingivoplastry)

咬合採得の情報を元に人工歯を配列した状態

蝋義歯とは? (What's an application of wax model ?)

 咬合採得後、咬合器装着が完了して、人工歯配列と歯肉形成が完了した段階のものをろう義歯という。

使用材料(Materials)  

  電気式ワックス形成器、人工歯、トーチ、デンタルメジャー

製作方法(Method of fabrication) 

0.切歯指導釘を1mm挙上する。
1.上顎の前歯部を、咬合採得後の咬合床を参考にして配列する
2.下顎の前歯部を、垂直被蓋1mm、水平被蓋3mm 設定で配列する
3.下顎の臼歯部を、パウンドラインを基準に配列する。人工歯の湾曲は説明書に従い付与する
4.上顎の臼歯部を、下顎の人工歯に噛ませて配列する
5.デンタルメジャーを用いて、歯列のアーチを左右対称になるように微調整する
6.歯肉形成する
7.咬合調整して完成
 

上顎のろう義歯


下顎のろう義歯


今回、前歯部は切歯乳頭から20mm前方で配列している(通常7~9mm)



 考察(Discussion)

1.人工歯配列について

 今回、担当歯科医師の指示の元、切歯乳頭から22mm前方に、ろう堤のアーチを設定して咬合床を製作した。(通常は切歯乳頭から7~9mm前方にアーチを設定する)
 咬合採得を行った結果、切歯乳頭から20mm前方に前歯の人工歯を配列することとなった。そのため、上図のように、前方に突出した義歯の形態となっている。
 患者は事故で顔面を骨折して顔が凹んだ形態になっており、このろう義歯を患者に試適すると、この設計で顔貌の回復がなされていた。
 また、上下の義歯は咬合で安定していた。

2. 3Dプリンタ技術(付加製造技術)を利用した義歯の製作について

 2015年にDWSシステムズ社(イタリア、ビチェンツァ)が、義歯床製作のための光造形用軟性樹脂および、テンポラリークラウン製作のための光造形用樹脂をイタリアで発売している。(2016年1月現在、日本では未発売、未認可) 
 製作方法は2つ考えられる。1つは、咬合採得した状態の模型の情報(咬合機装着後の情報)を3Dスキャンして、3Dモデリングソフト(3D CAD)で 人工歯配列および歯肉形成を行う。その後、人工歯部分のみおよび、人工歯肉部分のみに分割してそれぞれSTLデータ化する。人工歯部は歯冠用3Dプリンタ用樹脂で造形する。人工粘膜部は義歯床用3Dプリンタ用樹脂で造形する。その後、人口粘膜部に、人工歯を接着して、研磨して完成という流れである。(造形した人工歯がはまるように、人口粘膜部に凹状のくぼみが形成されている)
  2つめは、従来法でろう義歯を製作、試適後、ろう義歯を3Dスキャンする。次に、 人工歯部分のみおよび、人工歯肉部分のみに分割してそれぞれSTLデータ化する。人工歯部は歯冠用3Dプリンタ用樹脂で造形する。人工粘膜部は義歯床用3Dプリンタ用樹脂で造形する。その後、人口粘膜部に、人工歯を接着して、研磨して完成という流れである。上記の製作法を、リバースエンジニアリングという
 CAD/CAMミリング法で義歯を製作する方法もあるが、粘膜面のアンダーカット部を再現できるか等、不明な点が多い。
 上記の製作法が普及されることで、キャスティング重合法を用いた義歯製作法がなくなる可能性がある。キャスティング重合法は、ろう義歯埋没、脱ろう、石膏型の乾燥、レジン分離材塗布、レジンの液と粉の混和、石膏型にレジンの填入および脱泡(加圧)、加熱重合(お湯で重合かマイクロウェーブ重合)、重合後に自然放冷、レジンの応力緩和、石膏型から重合後の義歯の割り出し、石膏溶解材でレジンに付着した石膏の除去、バリ取り、形態、咬合調整、研磨という製作工程である。キャスティング重合法は、上記のとおり、煩雑で多くの工程を要する。また、脱ろう時のやけどの危険、レジン混和時にモノマーを吸引すること、石膏から義歯を割り出す際に義歯を割ってしまう危険などがある。加えて、作業時間もそれぞれ、ろう義歯埋没に60から80分、脱ろうに10分、石膏型の乾燥に30分、レジン分離材の塗布に5分、レジンの混和に20分、レジン填入に20分、レジン重合に3分から60分、放冷および応力緩和に1時間から24時間、石膏型からの割り出しに20分から60分、石膏の溶解に30分から60分、バリ取り、形態修正、に30分、咬合調整に60分、研磨に60分要する。合計で、最長465分(31時間45分)要する。(未熟な歯科技工士が作業して、重合法も湿式加熱重合を選択、応力緩和を24時間した場合)また、石膏等、廃棄物が多くでる。
 今後、3Dプリンタ技術が進歩し普及することで、上記のような複雑で時間が掛かり、火傷など怪我の恐れのあり、熟練を要する作業を行わなくてもよくなる可能性がある。新しい製作法を広めるためには、義歯の製作法別の製作コスト、作業時間、適合精度、機械的性質を評価して世間に発信していく必要がある。


関連リンク(Related links)

DWSシステムズ社
www.dwssystems.com