2016年6月25日土曜日

医療用材料としてのマグネシウム合金 Mg alloys for biomaterials

生体用マグネシウム合金

生体用に使用される金属材料としては、安全性と長期間耐久性を高めるために耐食合金が使用されており、ステントの場合、挿入時の余寿命から考えて金属は半永久的に体内に残留する。これは、再度血管を拡張したい場合に大きな障壁となる。この対策として考案されたのが、生分解性材料の概念で、現在ではMg合金の利用が研究されている。Mgは実用金属元素では最も比重が小さい。純金属のままでは強度が小さく構造材料としては使用できないので、Al, Zn, Mn, Zr, 希土元素などをひとつ以上加えて合金としている。
 Mgは極めて活性が高く、体内での分解(腐食)速度の適正な調整が困難で、しかも分解の際に水素ガスを発生する。人体に安全な範囲で分解速度を制御することが重要であり、このための研究が続けられている。

参考資料

バイオマテリアルシリーズ1 金属バイオマテリアル. 塙隆夫・米山隆之. コロナ社 2007, 87-89.

2016年6月23日木曜日

金合金、白金加金、金銀パラジウム合金、陶材焼付用合金、銀合金、チタン(歯科用金属)の物理的性質 the physical propertiesof alloys for dental; gold alloy, gold‐platinum alloy,gold-silver-palladium alloy, alloy for metal-ceramics, silver alloy, titanium.

 日本における歯科臨床で、頻繁に使用される金属の物理的性質を整理した。

歯科用金属の物理的性質 - 参考値-

金合金

製品名:K.18M.C. ゴールドアロイ(ジーシー)
融点:920℃
組成(重量%):金;75%、パラジウム;2%、銀;7%、銅;15%、亜鉛;2%、イリジウム;1%
引張り強さ(MPa):軟化後 461、硬化後 745
伸び(%): 軟化後 45、硬化後 12
硬さ(HV): 軟化後 160、硬化後 273

白金加金

製品名:白金加金M.C. 「鋳造用」(ジーシー)
融点:980℃
組成(重量%):金;68%、白金;5%、パラジウム;3%、銀;7%、銅;16%、亜鉛;1%、イリジウム;1%、ルテニウム;3.5%
引張り強さ(MPa):軟化後 500、硬化後 951
伸び(%): 軟化後 18、硬化後 3
硬さ(HV): 軟化後 170、硬化後 300

陶材焼付用金合金

製品名:キャスティングボンドM.C.85(ジーシー)
融点:1200℃
組成(重量%):金;83.5%、白金;10.5、パラジウム;1%、銀;1.5%、銅;3.5%、亜鉛;3.5%、インジウム;3.5%、スズ;3.5%、ルテニウム;3.5%
引張り強さ(MPa):耐力(焼成後);455
伸び(%):9%
硬さ(HV):150
熱膨張係数:14.1

金銀パラジウム合金

製品名:キャストウェルM.C. (金12%)(ジーシー)
融点:930℃
組成(重量%):金;12%、パラジウム;20%、銀;46%、銅;20%、亜鉛;2%、イリジウム;2%、インジウム;2%
引張り強さ(MPa):軟化後 500、硬化後 804
伸び(%): 軟化後 28、硬化後 3
硬さ(HV): 軟化後 146、硬化後 280

銀合金

製品名:ミロシルバー(ジーシー)
融点:560℃
組成(重量%):銀;65%、亜鉛;15%、スズ;20、Al;微量
引張り強さ(MPa):320
硬さ(HV):170

チタン

製品名:T‐アロイM(JIS 第2種純チタン)(ジーシー)
融点:1668℃
組成(重量%):チタン;99.4%以上、鉄;0.25%以下
引張り強さ(MPa):343以上
伸び(%):7以上
硬さ(HV):110以上

チタン合金

製品名:T‐アロイタフ(ASTM F1295)(ジーシー)
融点:1650℃
組成(重量%):チタン;86.5%、ニオブ;7%。Al;6%、鉄;0.5%、タンタル;0.5%
引張り強さ(MPa):700以上
伸び(%):2以上
硬さ(HV):200以上

引用

ジーシーHP パンフレット:歯科用金属の物理的性質
http://www.gcdental.co.jp/sys/data/file/fetch/1349/

歯学発 生分解性材料としての高性能Mg-Fe合金の開発 Development of high performance MgFe alloy as potential biodegradable materials. 2016 Materials science & engineering A

Development of high performance MgFe alloy as potential biodegradable materials.

DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.msea.2016.06.051
Reference: MSA33797
To appear in: Materials Science & Engineering A

Received date: 2 April 2016
Revised date:  14 June 2016
Accepted date:  15 June 2016

Cite this article as: Guoqiang Xie, Hajime Takada and Hiroyasu Kanetaka

Keywords: Magnesium alloys; Spark plasma sintering; Powder metallurgy; Mechanical alloying; Mechanical propetries

キーワード:マグネシウム合金;放電プラズマ焼結; 粉末冶金;メカニカルアロイング;機械的性質

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0921509316307067